独り歌芝居
The Candlelight 〜聖なる炎〜
「この蝋燭の炎が俺の心をとらえた」
老ぼれ馬に後ろ向きに乗り、エルサレムからフィレンツェへ聖なる炎を灯し続けるラニエロの魂の旅が始まる・・・
この蝋燭の炎が (作詞・作曲 時田直也 挿入歌)
「覚えておきなさい。今からのち、あの騎士はゴッドフリィよりも信心深くなるだろう。信心とやさしい思いやりがわたしの墓から生じないとしたら、いったいどこから生じるだろうか?」
* * *
時は1000年前
甲冑を絹のシャツを着るように身にまとい、戦士としての名声をほしいままにし、皇帝から騎士に任命された男、ラニエロ・ディ・ラニエロ。十字軍に参し、サラセン人より聖なる墓を奪還した彼が、そこで手に入れた最も貴重なものは聖墳墓教会の聖なる蝋燭から灯した小さな灯りでした。この戦いで得た最も貴重で高価な捧げものをフィレンツェ大聖堂の聖母マリア像に捧げるためラニエロはたった独りでエルサレムを旅立ちます。 エルサレムからフィレンツへ・・・、「狂人、狂人」とあざけられながら、いつ消えてしまうかもしれない小さな炎を灯し続ける孤独な旅でラニエロが得たものとは・・・
ラニエロが蝋燭の灯を手に旅をした距離
【聖墳墓教会:エルサレム 〜 フィレンツェ大聖堂】
👣徒歩 3770km 休まず歩き続けて 774時間 (32.25日)
🚘車 3857km(有料道路有 走り続けて)43時間
北海道稚内市から沖縄那覇市までの距離は3572.3㎞ 地図・・・→
ラニエロ&彼を取り巻く人々
<ラニエロ・ディ・ラニエロ>
フランチェスカが俺のもとを去ったまま、この街に住むことは出来ない。
町を出て兵士になろう!「聖母マリア様、これからのすべての戦いで勝ち取った最も素晴らしく、珍しいものを捧げます!」
聖なる墓をサラセン人より奪還するための聖戦をはじめるという。十字架を取り東の国へ向かって出発だ。この聖戦に勝てば彼女はきっと帰ってくる。
<フランチェスカ>
親の反対を押し切ってラニエロと結婚し今も彼を思う気持ちは変わりません。
でも、彼のすることは私を傷つけることばかり、彼をみていて私の愛が無くなっしまうことが怖くて彼のもとを離れました。教会の聖マリア様の前に彼が手柄を立てるたびに捧げる供え物はどれも私の心に響きません・・・
そんな彼が十字軍に参加したことを風のたよりに聞きました。
今はどうしているかしら・・・
<ヤコポ・デグリ・ウベルティ>
町の有力者:亜麻布職工 フランチェスカの父
ラニエロとの結婚は最初から反対しておった。あいつのすることといえば乱暴なことばかり。わしの仕事に難癖をつける。息子をバカにする。先祖の栄誉をいとも簡単に傷つける・・・・。心配していたとおり、フランチェスカは一年で帰ってきたがいつも塞ぎ込んでいる。結婚する前に約束したとおり娘を連れ戻しにこないのはありがたいがフランチェスカはいつになったら以前のような明るくやさしい娘に戻るやら 。
<足の不自由な職人 オッドの息子>
ラニエロにフランチェスカへの思いを笑い草にされ続け、足蹴にされて・・・もう生きていくことは出来ない。
<オッド>
ラニエロのせいで息子は首をつって死んでしまった。体は小さく、足は少し不自由だったがおとなしく心の優しい子だった。わしは、どんなことがあってもラニエロは赦せん。
息子とはもう二度と会うことは出来んのだ。
イタリア、フィレンツェがやっと共和国になったばかりの頃、住民のほとんどは羊毛の紡績工や職工で、仕事が平和にできればそれで十分だと思っていました。そして、この町が他のどの町よりも治安がいいことを誇りにしていました。そんなフィレンツェに武具師の息子として生まれたラニエロ・ディ・ラニエロは腕っ節が強くほら吹きで自惚れ屋、喧嘩があると聞きつけるといてもたってもいられず、仕事をほうりだして出て行きます。相手の数も考えず狂ったように戦いに飛び込んでいきますので、顔には深い傷がありました。この傷がなければ彼はハンサムだったことでしょう。彼のあまりの乱暴さに最愛のフランチェスカは実家へ帰ってしまいます。彼女の愛をもう一度取り戻すためにラニエロはあれこれと奔走しますが、彼女は一向に帰ってくる気配がありません。その頃、サラセン人から聖なる墓を奪還するための十字軍による聖戦が始まります。十字架を取りエルサレムへ・・・、聖墳墓教会奪還の栄誉を受けて彼に与えられた一本の蝋燭の灯。これが、この戦いで彼が得た最も尊い宝物でした。
ラニエロの旅路はライブでお楽しみください!
《登場人物》
*ラニエロ・ディ・ラニエロ *フランチェスカ
*語り部 *イエス・キリスト *ペテロ
*騎士仲間 *ジョバンニ(年老いた従者)*盗賊たち *山羊飼い
*宿屋の主人 *雷 *巡礼の老婆とその一行 *2羽の小鳥
*吟遊詩人ロベール・タイユ・フェール *女 *宿無し子たち *町の男達
*オッド *ヤコポ *司教 *司祭 *小鳥
《挿入歌》
♪この灯りは消されてはいなかった(時田直也:作詞・作曲)
♪この炎が (時田直也:作詞・作曲)
♪血潮したたる(Hans Leo Hassler,1601)
♪この小さきものに(時田直也 作詞・作曲)
他、時田オリジナルをお楽しみに
《用語》パッツォ イタリア語 狂人・正気を失った人
[バリトン/朗読(関西弁訳)/ピアノ/作曲]時田直也
[脚色]時田香代子
[原作]キリストの伝説Ⅲ 「胸赤コマドリ」〜聖なる炎〜
[著者]セルマ・ラーゲルレーヴ
1909年女性で初めてノーベル文学賞を受賞したスウェーデンの作家(1858~1940)
「ニルスの不思議な旅」をはじめ多くの作品が世界各国で翻訳され、日本でも岩波文庫などで広く親しまれてきた
[訳者]藤原英司・辺見栄
カトリック信徒 訳書に「シートン動物記 全9巻」(集英社)ご夫妻での共訳に「野生のエルザ」(文芸春秋)など著書・訳書多数
[出版]財団法人キリスト教視聴覚センター(AVACO)
2014/12/25(木)音楽ホール&ギャラリー里夢SATOM 初演
2015/12/25(金)音楽ホール&ギャラリー里夢SATOM 再演
2017/12/16 (土)スピカホール 再演
2017/12/25 (月)青谷福音ルーテル教会 再演
2019/12/25 (水)青谷福音ルーテル教会 再演 byond2020参加
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